今冬はまったく雪が降らず、まだ1月の終わりだというのに春の気配すら感じられます。
『自然環境はどうなっちまうんだ!?』と不安もよぎりますが、雪が少ないのは運転しやすいわけで……。
ということで、岩手県の盛岡と花巻を目指して週末旅行をしてきました。
岩鋳鐵器館
岩手県を代表する工芸品といえば南部鉄器。
江戸時代に花開いた茶の湯文化とともに発展してきた伝統産業のひとつです。
明治35年に創業した株式会社岩鋳はデザインから製造、販売までを一貫して手掛ける南部鉄器業界のリーディングカンパニー。
その本社工場の一部を見学できる岩鋳鐵器館を訪問しました。
この日は日曜日だったので、工房はとても静か。でも、使い込まれた道具がそこら中に置かれていて雰囲気バツグンです。
作業所の見学後は直売所もありました。
色付きの急須やモダンなデザインのキッチンウエアなど、伝統にとらわれない創造性豊かな製品が魅力的でした。
お土産に南部鉄器のストラップとキーホルダーを購入しました。
とても可愛いのですけど、金属製なのでちゃんと考えて取り付けないと他のアイテムを傷つけてしまいそうです。
見学は無料&予約不要なので、ふらりと立ち寄れる気軽さがとてもいいですね。
盛岡八幡宮
続いて向かったのは、岩鋳鐵器館からクルマで約5分の距離にある盛岡八幡宮です。
延宝8(1680)年に建立され、地元の方からは「お八幡さん」と呼ばれて親しまれてきた神社なんですって。
大きくて立派な鳥居をくぐり、本殿を目指します。
この境内には12の社があり、もはや神様の住宅街の様相。どんな願い事でも叶うとされています。
ちなみに大国様と恵比須様の横では貫禄のある猫が日向ぼっこ。
参拝客に囲まれても、カメラを向けられても、まったく動じませんでした。
本殿の近くには硬貨が水に浮けば願いが叶うという水瓶があったり、厄難封じのヒョウタンを奉納できたり、金魚型のおみくじを釣り上げるコーナーがあったり……。
エンターテイメント感たっぷりで、なんだか楽しいお参りができました。
盛岡城址公園
さて、盛岡八幡宮から市街中心部に向けてクルマを走らせ、駐車場を求めて盛岡城址公園(岩手公園)を目指しました。
この公園にはかつて「不来方城」と呼ばれた盛岡城の立派な石垣が残されていて、その勇姿を偲ばせます。
そして、この城址公園内には藩主の南部氏を祀る桜山神社があり、盛岡城の築城時に出土した烏帽子岩という巨石が置かれています。
広角で撮影したのでサイズ感が伝わりにくいのですが、4〜5メートルほどはある大きな岩でした。
盛岡じゃじゃ麺 白龍
桜山神社の目の前にあるのが盛岡じゃじゃ麺発祥のお店、白龍(パイロン)。
日曜日ともなると開店前から長い行列ができていました。
でも、地域猫たちが楽しませてくれたので、まったく苦にならず並べましたけどね(笑)。
さてさて、だいたい20〜30分ほど並んで相席のテーブルに通されました。
パッと目に飛び込んできたのは、狭い店内の壁を埋め尽くさんばかりの有名人のサイン。
テレビ番組などで多くの芸能人が訪れているようですし、珍しいものだと高校生時代の菊池雄星選手がサインを残していましたよ。
そして、待ちに待った名物じゃじゃ麺とご対面です。
まずは味噌を絡めるようにグチャグチャに混ぜてからいただきます。
山盛りの刻みショウガと豊かに香る味噌が刺激的で食欲をそそります。
麺は少し柔らかく茹でてありますが、キュウリのシャキシャキ感がいいアクセントとなって、お箸が止まりません。
そして、麺を食べ終わったらテーブル上にある生卵を割り入れて、少し溶いてから店員さんに渡します。
すると、そのお皿に茹で汁と追加の味噌を入れてくれて、「ちいたんたん」と呼ばれる卵スープになって返ってきます。
ガツンとくるじゃじゃ麺の後に飲む優しい ちいたんたん が最高。
こりゃ、美味しいですわ。
僕もサインを残して帰ろうと思いましたが、店員の誰からも求められなかったので自粛しました。
石割桜、岩手銀行赤レンガ館など
お腹も膨れたので、盛岡の市街地をサクッと散策してみることに。
まず、盛岡高等裁判所内にある石割桜を見学です。
暖冬とはいえ、まだまだ桜の季節にはほど遠く、冬衣装に身を包んでいました。
そして、歩いているとご当地ヒーローの自販機を発見しました。
「鉄神ガンライザー」というのですが、右手が南部鉄器なんですって。
右手がゴツゴツした突起がついた鋳鉄製の鈍器……パンチが痛そう。
なんて想像しつつ調べてみたら、2011年から毎年制作されているシリーズで、地元ではけっこう人気のあるヒーローだったみたいです。
テクテクと歩いて中津川を渡った先にある目立つレトロな建物、岩手銀行赤レンガ館も見学してきました。
ちょっとした手すりや間仕りにまで細かな装飾が入っていて、本当に美しい建物でした。
そして、壁や床をよく見ると傷やインク染みがついていて、『ここで頑張って働いていた人がいるんだなぁ』と感じさせられます。
お城でも古民家でも、中古車でもジャンク品でも、“誰かが使った痕跡”が好きです。
名前も顔も性別も知らない誰かが確かに存在したことを感じながら、その設備や道具を使って何をしたのかを想像します。
……あ、これって変態なんですか?
そうですか。
こうして盛岡を楽しんだ後は、東北自動車道を少し南下して花巻の新鉛温泉を目指しました。
でも、ちょっと長くなってきたので、続きは後編にて。
ではでは。