妻を職場に送り出し、カーテンを開けると大きな白い雲が目に入りました。
真っ青な空に浮かぶ雲は一瞬たりとも留まることを知らず、形を変えながら風に吹かれて流されていくだけ。
綿菓子よりも硬くて、ソフトクリームより柔らかそう——そんな雲の粘度が見えた気がして、カメラを取り出しました。
変わりゆく雲の姿を写真に収めましたが、このシーンは記録に残さなくても実生活で困ることはありません。
だけど、それを見逃せないから、僕はカメラを手放せないのです。
過ぎ去っていく瞬間を留めておきたくてシャッターを切る。見返すことなんてめったにないのに、写真を撮り溜めていく。
こうした無意味の集合が知らぬうちに思い出となり、楽しく見返す日がやってくると信じて、今日も記録しています。
ではでは……。