大将がゆく

写真を撮ったり、イラストを描いたり……日本一周の旅をした主夫の日記帳

あ、ここで生活できますね|トヨタ プロボックス

ずっと前から気になっているクルマにレンタカーで乗ってきました。トヨタ プロボックスです。

借りたクルマ

最上位モデルのFグレードだったのでリア席も座り心地がよかったです

今回、借りたのはクルマの仕様は次のとおりでした。

項目 内容
車名 トヨタ プロボックス
エンジン 1.5L(ガソリン)
駆動方式 FF(二輪駆動)
グレード F

また比較対象は過去に所有していたトヨタ カローラフィールダー(3代目、2012年モデル)を挙げておきます。これは同じトヨタ・Bプラットフォームを使っているだけでなく、搭載している1.5Lのエンジンも1NZ-FEで同一となるからです。

もう7年前に手放したクルマなんで記憶が若干曖昧ですけど悪しからず

外装・デザイン

合理性の塊のようなクルマでした

余計な装飾や加飾は一切なし。バンパーもあくまで緩衝材としての役割に徹しています。

横から見るとボンネットからAピラーがスッと立ち上がっていて、だいたいハンドルの真上でルーフピークに達するのがわかります。そしてルーフがそのままリアまで真っ直ぐに続いています。

積載性を高めるための箱型デザイン。むしろ見切りもよくて運転しやすかったです

空力抵抗などを考慮した現代の自家用車だと流線型に近づけるため、フロントガラスが寝ていて圧迫感があります。それに対してプロボックスは頭上空間に余裕が感じられて広々と過ごすことができました。

ご参考:現愛車のヤリスを横から見た図。Aピラーが寝ておりBピラーでやっとルーフの最高到達地点になっています

内装

前方座席

車内前方。どんな商品開発を行ったらこんな内装が生まれるんでしょうか?感心するばかりです

内装は……ここまでプラ素材ばかりになると逆にチープ感とか感じないんですね(笑)。むしろ統一感があって気持ちがいいくらいです。これは予想だにしない発見でした。

ただチープなのは素材だけ。レイアウトや寸法は細かな部分まで考え抜かれていることが実感できます。

スマホホルダーが標準装備されてるクルマって他にあります?画面を注視できないように半分は覆われてますけど、底面にスリットがあるので充電ケーブルはさすことができます

カーナビ下には引き出し式のテーブルがあります。耐荷重は10kg。ランチ、パソコン作業、あとは……いくらでも活用できますね

電源系統は12Vシガーソケット、USB-A、100Vコンセントの3種類という充実ぶり。ここは年式やオプションによって変わるので中古車を検討する際には要確認です

1Lの紙パックが収まるドリンクホルダー、ゴミ袋をかけられるフックもあります

ちょっと待ってくださいよぉ。センタークラスター部分だけでも言及したい項目が多すぎて書ききれません。

すべてのニーズが運転席から手の届く範囲で完結するように設計されているだけあって、本当に便利で使いやすいんです。

あとフロントシートなんですけど、表面は柔らかいわりに奥側に低反発ながらしっかりと体重を支えてくれる芯材を感じました。で、これが正直に書いとくとヤリスのシートよりも座り心地がよくて疲れないんです。

リクライニング角度は驚異の76度。ほぼフルフラットになれます。寝れます。ここにトヨタのファーストクラス座席がありました

後部荷室

スクエア型の開口部で荷物の出し入れがしやすそうですし、人間の出入りも楽そうです

プロボックス最大の武器は後部の荷室。貨物用のライトバンですから当たり前なんですけどね。

言うまでもなくこれがとても広大。後部座席を収納すれば最大荷室長1810mm、幅は1260〜1270mmの広大な空間が出現します。

身長170cm程度の僕が余裕で横になれます。なんら工作も加工もせずに車中泊可能です

後部座席を収納した際にシートベルトがフラフラと遊ばないように格納する専用ソケットまで用意されています。この細やかな気配りが日本トップクラスのお・も・て・な・し(死語)

いやぁ、ビビりましたわ。ウワサでは車中泊に最適だと聞いていましたが、ただ後部座席を倒すだけでフルフラットになります。

そして身長が約170cmの僕はまったく体を折り曲げることなく横になれました。頭上にこぶし1個ほどの隙間を開けるとリアゲートに足が着きましたが、そのくらいです。

こうやって成人男性が横になれるクルマは多いんですけど、特筆すべきは車内の高さです。

天井高は935mm。あぐらで座っても頭がつかないんですわ。フィールダーだと横になれても座ると首が曲がってしまったんで食事まではできませんでした。でも、プロボックスなら食事のみならず簡易調理までできるでしょう。

運転席から振り返ったフルフラット状態の荷室。助手席側に荷物とテーブルを置いて、そこでちょっとした調理とか食事、パソコンも開けます。あとリアの壁は鉄板剥き出しなのでマグネットで照明でもなんでも貼り付けられます……妄想がトマらねぇ!

とりわけ立体駐車場に入るサイズとしては、これ以上に車中泊とかアウトドアユースに適したクルマはないんじゃないか?とさえ思えてきました。

というか、もうプロボックスで生活できますね。

だって運転席に座ったままテーブルで食事もできるし、ゴミ箱を吊るすこともできる。さらに荷室で横になって寝られるんですもん。

ポータブル電源を積んでエンジン停止中の電源を確保さえできちゃえば、別荘とはいわずとも移動式バンガローくらいにはなってます。

走行性能

“公道最速”の称号が与えられた最強マシン、プロボックス。その実力やいかに!?

走行のフィーリングなんですけど甘く見てました。ほんとすみません。10年前に買ったカローラフィールダーと同じエンジンと骨格だとは思えません。

まず走り出しがいいんですね。燃費を稼ぐためにアクセルの入力を弱めるなんてことをしないんです。CVTなんで日頃乗っている6MTに比べるとタイムラグはありますが、グッと加速して巡航速度に乗せることができます。

シフトはゲート式。ジグザグに動くので最初は慣れが必要ですが、いずれ身体が覚えます

また貨物用なのでサスペンションがしっかりしているため、段差などの突き上げはしっかりと伝わってきます。

ですが、高速道路のランプウェイなどのキツいカーブでもフラフラとかフワフワせずにしっかり狙ったラインをトレースしてくれるので運転しやすかったです。

こうしたエンジンと足回りのセッティングは一般道でも気持ちよく走れるだけでなく、高速走行でもちゃんと仕事をしてくれるんです。アクセルを踏み込めば唸りを上げてガンガンと加速していきます。でもハンドルはブレないみたいな。

フィールダーは80km/hも出すとエンジンも必死だし、ハンドルが遊び始めて怖かった記憶があります。その点、プロボックスはフィールダーで感じていたネガティブな部分を潰してきた上位互換モデルにさえ思えてきます。

タイヤはヨコハマタイヤのBluEarth-Van RY55を装着していました

ということで、このクルマで100km/hでのクルージングは安心&余裕。東北自動車道では追越車線をかっ飛んでいくプロボックスを頻繁に見かけますが納得です。てか、もうスポーツカーじゃん。

ちなみにこの日はトータルで237.9kmを走行しました。そのうち約60kmが高速道路利用でしたが、総合して燃費は14.89km/Lとなりました。意外といいですね。

安全性

この項目での減点を受け入れられるかが購入の決め手かもしれません

ここまでベタ褒め状態なんですけど、安全性は少し見劣りするクルマです。

商用車なので経済性が最重要視されるからか、2024年の感覚だと安全装備が貧弱に思えて仕方ありません。

というのも今では搭載義務化されているサイドエアバッグが一切設定されていないんですね。オプションでも付けられません。なんで側突されたときには頭部のケガの危険性が高いです。

また先進サポート技術のToyota Safety Senseも搭載されていますが、新車でも歩行者の検知は昼間だけというちょっと古いモデルに留まっています。

2016年のモデルチェンジで搭載されたToyota Safety Senseですが性能は旧式です

10年前のクルマだと思えば充分な装備だとは思います。そもそも僕が人生で最初に買ったフィールダーには自動ブレーキなんてなかったし、支援機能に甘えてナメた運転をするよりも緊張感を持ってハンドルを握ったほうが安全だとも言えなくもないです。

自家用車としての運用を考える

こいつをマイカーにするにはちょっと心構えが必要かも

ユーティリティー性は120点、走行性能も十分すぎるくらい。ここで簡単にメリットとデメリットをまとめておきましょう。

メリット
  • 運転席を中心としたユーティリティー性の高さ
  • 広い荷室で車中泊も楽チン
  • 必要十分以上の高い走行性能
デメリット
  • 安全装備が10年前から進化していない
  • 毎年車検など貨物車ならではの保有の手間

でも自家用車として手に入れるためにはいくつか考慮すべきポイントがあります。

4ナンバー登録 → 毎年車検

毎年、車検というイベントが発生します

プロボックスは貨物車として登録されているので、4ナンバーになって毎年車検を受けないといけません。

なんか車検って面倒じゃないですか。たいしたことはしないんですけど、車屋さんで見積もりを取ったり、日程を調整したり、代車を用意してもらったり……。これが毎年のイベントになるわけです。この手間をどうするかです。

ある意味、ここが保有コストを削減できるポイントでもあるんですけどね。トヨタの正規ディーラーで行うとだいたい7万円。普通車よりも安く設定されているとはいえ、そのくらいはします。でもユーザー車検で頑張れば2.5万円もあればお釣りがきます。

ここは専門家に技術料を払って安心を買うか、それとも自分で頑張って出費を抑えるかの判断になります。

快適装備が少ない

物理キーを鍵穴に突っ込んで捻るタイプ自体が懐かし装備になってますよね

車内の収納などはかなり充実していますが、乗用車では一般的な快適装備品が付いていません。

たとえばキーレスエントリー。今ではドアノブを触るだけで解錠されるタイプが主流ですが、プロボックスにおいては付いていてもキーのボタン操作が必要です。要はドアノブに何もセンサー類が付いてないんです。

見てくださいよ、このシンプルなハンドル周りを。今のクルマってボタンがいかに増えたのかが思い知らされます

そのほか自動ブレーキは付いているものの、クルーズコントロールはありません。アクセルワークで速度を保つ必要があります。なので高速道路を利用して数時間走り続けるようなロングドライブだと疲れちゃうかも。

……どれも昔はレクサスとかクラウンにしかついてないような豪華装備だったんですけどねぇ。一度でも快適なクルマに慣れちゃうと戻るのって心理的抵抗があることに気づきました。

プロボックスは次期愛車になりえるか?

普段使いでもなんら不満なく運転できる、いい意味で”プレーン”な乗り味だと思いました

プロボックスは新車でもハイブリッド車が200万円前後で手に入るんですね。中古のガソリン仕様だと150万円も出せば手が届きます。

とりわけ今回の乗り換え検討は膝のケガに起因する予定外の出費なので、導入コストが低く済むのは大変助かります。

ただ同じくらいの価格でコンパクトカーって結構あるんです。しかもどれを選んでもだいたいプロボックスよりも快適装備は充実しています。

では、このライトバンのいいところってなんなんでしょう?

立体駐車場に入るMAXサイズ

車高が1525mmとは信じられないくらい車内空間が広いです

プロボックスの最大のメリットがサイズ。立体駐車場に入るのに生活ができそうなくらいの空間と使い勝手を兼ね備えているクルマは他にないでしょう。別に車高制限がなければハイエースだっていいんです。

とりわけ今年に入ってから登山の出発前とか必要なときに車内で仮眠が取れることって大切なんだなって思い知らされました。

夜通しで長距離を運転して、睡眠不足で山に登って、その日のうちにまた100km以上を運転して帰宅……なんて安全じゃない。いつか事故を起こしちゃいます。

そのためせっかくクルマを乗り換えるのであれば車内で安眠できるようなものが欲しいと考えています。

6月の登山でヤリスでの車中泊に挑戦し、ほぼ一睡もできずに登る羽目になりました

割り切りができる

クルマ好きの宿命ってやつがありまして、常に最新ニュースやレビュー動画を漁っているために新しいクルマの最新装備が羨ましく感じられちゃうんですね。

でも、プロボックスはデビューが2002年。最後にでかいモデルチェンジを行ったのは2016年。もうパッと見の変化がないんです。中古車を買っても目移りしません。

そして運転中にずっと目に入る内装もプラ素材で上から下まで統一されているので、「あぁ、この素材感がなぁ」とか気になることもありません。

そもそも商用車という明確なキャラクターが与えられたクルマなんで、オーナーも諦め……割り切れるんじゃないか?なんて思うんです。

一応、風のウワサでは2025年に排気ガス規制の対応か何かでフルモデルチェンジするのでは?というのがありますが、現時点では新車購入は考えていないので性能や見た目を気にすることなく中古車を選べるってのは高評価です。

ほかのクルマも検討しましょう

いいクルマだけど……ステイ!

いいクルマなのは分かりましたが、勢いで飛びつくのはまだ危険です。高い買い物なんで慎重にいきましょう。

今回、レンタルしたのはガソリン車のFFでしたけど、アウトドアをしたり冬季の凍結路のことを考えるとガソリン車の4WDも検討したいです。またハイブリッド車になるとバネ上制振制御が付いてるので、燃費だけでなく乗り心地向上も期待できます。

そのほかのコンパクトカーも比較検討したうえで、納得してから次のクルマに乗り換えるのかを決めたいところです。

あ、まだヤリスを手放すって決めたわけじゃないですからね!6MTのドライビングプレジャーはそう簡単に諦められません。左膝を労わりながらクラッチ操作を続けられないかの模索も同時進行で取り組んでいます。

それじゃあ、また。

とはいえ今日も買い物に行ったら出発15分で左膝はガッツリと痛みがぶり返し、スーパー内では足を引きずって歩き、帰りは歯を食いしばってクラッチを踏みました