大将がゆく

写真を撮ったり、イラストを描いたり……日本一周の旅をした主夫の日記帳

BRTに乗ってみよう|JR気仙沼線BRT

宮城県で暮らしはじめてからずっと乗りたかった鉄道路線でひさしぶりの鉄旅を満喫してきました。

BRTに乗ってみよう

気仙沼線と大船渡線を走るBRT。真っ赤な車体色が目印です

それがJR気仙沼線BRT。BRTとは「バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)」の略称で、日本語訳すると「バス高速輸送システム」となります。

簡単に説明すれば専用軌道を走行する路線バス。交通渋滞などに左右されず、鉄道のように効率的かつ定時運行で旅客を運送できるのが強みです。

そしてJR気仙沼線とJR大船渡線では2011年の東日本大震災で被災した区間の線路を転用してBRTが運行されています。

今回の“鉄旅”のルート。行きも帰りも同じ路線で往復しますが、BRTの乗り継ぎ駅が違います

この鉄旅では仙台駅から気仙沼駅を目指します。

ルートはJRの東北本線、石巻線に続き、まだ鉄道として運行されている気仙沼線、そしてBRT化された気仙沼線の4区間を乗り継いでいきます。

往路はスムーズに電車が接続。1日3本しかない気仙沼線の柳津行きにも乗れました

仙台駅から在来線を乗り継ぐ

JR仙台駅にやってきました。まずは東北本線に乗ります

向かい側のホームには臨時快速の「快速湯けむり号」が停車中(乗っていません)。レトロなラッピングがおしゃれな車体でした

小牛田駅で乗り換え。キハ110系の奥の細道最上川ライン向け車両がやってきました

キハ110系の車内。1人がけのボックス席ははじめてでした。シートが柔らかくて乗り心地がよかったです

仙台駅から東北本線に乗って向かったのは小牛田(こごた)駅。

ここからは石巻方面へ向けて石巻線が走っており、その途中駅の前谷地(まえやち)駅から気仙沼線が分岐します。

しかし、この日は小牛田駅にて気仙沼線鉄道区間の終点である柳津(やないづ)行きの電車に乗り換えることができました。

この気仙沼線へ直通する列車は1日に3本ほどしか運行されていないレアなもの。珍しいものに乗れてなんだかラッキーな気分です。

小牛田駅を出発し、田植え直後の田園風景の中を走っていきます

いよいよBRTに乗車

柳津駅。鉄路が続いているのはここまで

2011年3月まではこの先もずっと線路が繋がっていましたが、現在は舗装路となってBRTの専用軌道となっています

柳津駅でキハ110を降りていよいよ今回の鉄旅の目的であるBRT区間へ踏み出します。

同じ駅構内の停留所で待つこと約15分。真っ赤なバスがやってきました。

待ち時間15分弱でBRTが入線しました。土曜日ということもあり自分以外に3〜4組の旅行者が一緒に乗り込みました

車内はいたって普通の路線バスです

のんびりと車窓の風景を楽しみながら北上を続けます

とはいえ今回のルートではBRTに乗車してからが長く、往路は1時間48分、そして帰路は柳津駅ではなく前谷地駅まで乗るので2時間20分ずっと同じバスに揺られることとなりました。

ただ海側の座席に座れば三陸海岸の綺麗な景色を楽しみながら時間を過ごすことができます。

今回は「小さな旅ホリデーパス」を利用しました。このJRの切符を見せながらバスに乗るのが新鮮な感覚でした

気仙沼でちょっと遊ぶ

気仙沼駅は1番線と2番線がBRTの乗降場です。もともとは鉄道用のホームだった場所にバスが出入りしていることがわかる構造でした

大船渡線ホームに停車していた「POKÉMON with YOU トレイン」。外装のラッピングだけでなく、車内もピカチュウだらけでした

気仙沼は「ケセンヌマシティ」と称し、ポケモンに出会える港町としてアピールしています。そのため駅にはポケモンがたくさんいました。

気仙沼駅に到着したのは13時23分。しかし帰りの便は14時40分に出発するので、気仙沼での滞在時間は1時間17分しかありませんでした。

そして気仙沼の観光拠点は駅から2キロほど離れている漁港や魚市場付近のベイエリアに集中しています。

もし歩いたら片道30分、往復すれば1時間かかるとして……これは歩いていては時間が足らないと判断し、駅前にある観光協会でレンタサイクルを利用しました。

現地で借りた自転車で便利に移動できました。でも向かった先で駐輪場を見つけられず困ってしまいました

気仙沼内湾にある浮見堂。海面に突き出した橋上に建てられています

自転車を漕いで移動しましたが、さすが土曜日のお昼時ともなればベイエリアの飲食店はどこも並んでいました。

なので今回の限られた時間ではゆっくりランチを食べるほどの余裕はなく、移動しながら写真を撮るだけで駅に戻らないといけませんでした。

乗車そのものが旅の目的だったので問題ないのですが、到着先での行動や時間に制約が生まれがちなのが鉄道旅の悩ましいところだとあらためて実感しました。

さて、帰ろう

帰路も同じルートで帰りますが、BRTは柳津ではなく前谷地まで乗ります

自転車を返却し、駅構内のコンビニでおにぎりとお土産を買ったら出発時刻が近づいてきました。

14時40分発の前谷地行きBRTに始発の気仙沼駅から乗り込んだのは僕だけ。

到着時に見かけたPOKÉMON with YOU トレインはまだホームに停車しており、ピカチュウが描かれた車両を横目に仙台を目指す4時間の旅路につきました。

今回の鉄旅のお土産は卵1つでできるフカヒレスープです

BRTは大谷海岸や南三陸などスタンプラリーで巡った道の駅も経由して進んでいきます(写真は大谷海岸)

緩やかなカーブを描く専用道、馬蹄型のトンネル……ここに鉄道が走っていた当時を偲ばせる光景が車窓を流れていきます

柳津〜前谷地の間は鉄道であれば約20分ですが、BRTだと30分ほどかかるようです

この日は乗車中には意識してスマホを取り出さずに車窓の景色を眺めるようにしていました。

正直に書くと退屈に感じるときもありました。でも、たぶん令和の時代に生きる僕たちにとって「暇だなぁ〜」なんてぼんやり過ごす時間が必要なんだと感じる今日この頃。

移動時間は往復で7時間半に対し、現地での滞在時間が1時間17分とアンバランスな時間配分の旅でしたが、とても贅沢な1日を過ごせたと思います。

たまにはこういう古風な旅もいいもんですね。

それじゃあ、また。

今回の鉄旅には以前から気になっていたカメラ、ニコン Zfcを借りていきました。近いうちに感想を記事にしたいです

撮 影:2025年5月 in 宮城県
カメラ:Nikon Zfc, Apple iPhone13
レンズ:Nikon NIKKOR Z 28mm f/2.8