先日、前々から気になっていたニコン Zfcを借りてみました。
レトロでお洒落なカメラ
ニコン Zfcの特長は何といってもレトロな外観。
1982年に発売されたニコンFM2にインスパイアされたとされるデザインは小型軽量ながらも道具感が詰まっていて写欲を高めてくれます。
レトロなUIを持つZfcはマニュアル撮影ばかりかと思いきや、もちろんオート、Pオート、S優先、A優先、マニュアルとモードを選べます。
また静止画と動画の切り替えもシャッタスピードダイヤルの下にあるレバーで選べる設計はとても現代的だと思いました。
背面は小型ボディにもかかわらず極端なボタン数の削減など行われていません。そのため使っていて不便に感じることはありませんでした。
そして設計者のこだわりを垣間見たのはバリアングル液晶の裏側。ここにも人工皮革が貼り付けられており、伏せて閉じるとフィルムカメラのような外観に早変わりします。
妥協なき描写力
センサーサイズはDXフォーマット(APS-C)なのでボケ味はフルサイズ機と比べると控えめです。
でも、キットレンズの28mm f/2.8でもしっかりと解像し、スマートフォンとは一線を画す写真機の写りを味わうことができました。

ニコンが手がけたカメラとはいえ、どうしてもそのレトロな外観の感想ばかりが先行して肝心の描写力はどうなのよ?と最初は少し懐疑的な印象を抱いていました。
でも、実際にZfcを持ち出してみると描写に妥協は一切ないことを実感できました。
ニコンらしい暗部の表現といいますか、落ち着いたウェットな絵作りを堪能できます。
むしろこんなに持ち歩きやすい本体サイズなのにここまで写せるなら旅行とかに連れていくには最高の1台かも。
ピクチャーコントロールは好みの問題
Zfcには「ピクチャーコントロール」と称するフィルター機能が搭載されています。
ベーシックなフィルター7種類に加えて、 「クリエイティブピクチャーコントロール」という創造的なカラーエフェクトは20種類もあります。
合計27種類のフィルターから自分の好みを選べるわけなのですが……まぁ、選択肢がおおけりゃいいってわけでもないんですよねぇ(笑)。
そもそもこれだけの数があるとメニュー画面で選ぶのも一苦労でした。
あとクリエイティブピクチャーコントロールは写真の雰囲気や色合いを大きく変えてしまうので、よっぽど遊びたい気分じゃないと僕は使わないかも。
個人的には富士フイルムのフィルムシミュレーションのほうが好みで、実用的な選択肢がそろっているように感じました。
これ、買いですね
このニコン Zfc、小型軽量ながら妥協なしの写真が楽しめますが、すでにフルサイズ機を持っている人のサブ機としても活躍しそうです。
やっぱりガチで撮るときは即応性とか機能性とかを優先して右手だけでコントロールできる現代的なカメラをメインに据えたいもの。
一方で気楽に撮るときは古き良きスタイルでダイヤルをカチカチと回して「やっぱ明るすぎるな……」なんてブツブツ言いながら被写体と向き合う不便さを愉しむ――。
そんな“オフ”のときにZfcは最高のオトモになってくれますし、ちゃんと撮れるからメイン機のサポート役にもなれて頼もしいことこのうえなしです。
カメラの主流がミラーレス機になって高機能化し、さらに円安とか半導体不足だとかプレ値だとかで全体的な値上がりがハンパないと思う今日この頃。
もはやZfcが10万円前後で入手できるのは安いですね(断言)。
……いや、10万円が安く感じるってのはカメラ沼やレンズ沼にハマってる人間の妄言であることは間違いないです。自覚症状はあります。
じゃあ、コスパがいいから買うかというと、ソニー製品が中心の僕の機材構成でこれを1台だけポンと手に入れて運用するのは……ちょっとシナジー効果が薄くて難しいかな?
実際、今は2台体制でバッテリーとレンズを共有できるメリットを享受しまくってますからね。
でも、もしニコンのZマウントを中心に機材をそろえていたらマジで買っていたと思います。むしろゲットしない理由を見つけるの難しいくらい素晴らしいカメラでした。
それじゃあ、また。