
エレベーターを降りた瞬間、空間に圧倒されてしまいました。
それまではビルの高層階でにぎやかな場所にいて、そこから直結する地下鉄駅に向かおうとする途中でした。
たまたまこのエレベーターホールにいたのは自分たちだけ。遠くの自動ドアの向こうでは数えきれないほどの人が行き来しているのが見えていますが、音も聞こえずまるで水槽を眺めているようでした。
喧騒と喧騒の狭間にある静寂というか、小休止のようなところに急に出てしまうと一瞬足がすくんで、見えない壁にぶつかったような感覚になるんですね。
――こういう現地での空気感まで伝えきれる写真を撮れたら写真家冥利に尽きるのですが、なかなかうまくいかないもんです。
それじゃあ、また。
撮 影:2025年10月 in 虎ノ門ヒルズ(東京都港区)
カメラ:FUJIFILM X100V