電車に乗りたくて
急に電車に乗りたくなりました。
思い返せば最後に乗ったのは半年前。年末年始の帰省のときです。いわゆる“禁断症状”ですね。
でも、再び新型コロナウイルスが流行の兆しを見せているこの状況で、旅行目的の公共交通機関を用いた長距離の移動は気が引けます。
そこで今回は在来線で片道20分間のプチ鉄旅へ。
目指すは日本三大稲荷のひとつに数えられる竹駒神社です。
仙台駅から東北本線に
平日のお昼どき。仙台駅はガラガラだと思っていたら、ホームでは利用客が列を作って待っていました。
意外と多いのは制服姿の学生たち。
彼らにはテスト期間中の悲壮感がありませんので、感染拡大防止を目的とした時差通学なのでしょうか?
目に入ったものを写真に収めているうちにホームにやってきたのは東北本線の白石行き上り列車。
でも、乗り込むときに入り口のステップでつまずいてしまいました。
バリアフリーが社会に浸透して久しい2020年に、まさか電車のドアの先に段差があるなんて……。
乗り慣れてない電車から洗礼を浴びつつ、岩沼駅を目指します。
木造連絡橋が佇む岩沼駅
仙台駅を出発した電車は再開発が進む長町エリアを抜けて南進していきます。
常磐線と東北本線が分岐する岩沼駅で降りると、改札へ向かうために渡る連絡橋で足が止まりました。
緑色にペイントされた木造の壁と屋根がなんともお洒落です。
学生時代はコンクリート打ちっぱなしとか、ガラス張りのモダンな建築が好きだったのに、最近はこうした歴史を感じさせる建物に惹かれます。
僕も老朽化を隠せなくなってきてるので、シンパシーを感じているのかもしれません。
武隈の松
岩沼駅東口ロータリーに出ると松尾芭蕉の銅像が出迎えてくれました。
竹駒神社に向かう道中、古くから多くの歌句で取り上げられ、国の名勝にも指定されている「武隈の松(二木の松)」があります。
かの有名な松尾芭蕉はこの地を訪れた際に
武隈の松にこそ、目さむる心地はすれ……
と武隈の松を目にしたときの感動を「奥の細道」に残して、結びの句で
桜より 松は二木を 三月超し
と詠んでいます。
現在、道路沿いにそびえるの武隈の松は7代目。植えられたのは文久2年(1862年)だそうです。
ちなみに松尾芭蕉がやってきたのは元禄2年5月4日(1689年6月20日)なので、彼が見上げたのは先々代(5代目)の武隈の松とされています。
隣接する二木の松史跡公園内では既に8代目が控えており、歴史が脈々と受け継がれていく様子を目の当たりにしました。
竹駒神社
さて、武隈の松でちょっと盛り上がりすぎましたが、住宅街を抜けて竹駒神社に到着。
表参道の鳥居をくぐり、立派な随身門や向唐門を進み、本殿へお参りしました。
平安時代の建立から1200年近い歴史を紡いできた境内では落ち着いた時間が流れているようでした。
感染症や集中豪雨、経済の停滞……不安や恐怖に包まれた現実を忘れてゆっくりと深呼吸。
少しだけ心身の平穏を取り戻せた気がします。
今度はもう少し天気がいい日に来よう。あ、近くにある金蛇水神社も気になるんですよね。
そんな次回のお参りへの期待を膨らませつつ、今日はこのへんで。
ではでは……。