「え!?マジか……」と思わず声を漏らしてしまい、ついでに隣にいたご婦人と目が合ってしまいました。
ここはスーパーの精肉コーナー。僕が手にしているのは豚バラ肉のパック。
日々、主夫として物価上昇は実感していましたが、そのパックには従来の肌感覚よりも2〜3割は高く感じる値札が付いていました。
「なんか、最近、めっちゃ高くないですか?」
「……え、えぇ、そうねぇ。困っちゃうねぇ」
目が合ったら仕方ない。この微妙な空気を打破するためには自分から会話を始めるしかないのです。
「まったく。このままだと霞を食って暮らすことになりますよ」
「……ねぇ」
余計に気まずくなったじゃないですか!どうすりゃいいんですか!ちょっと打ち解けたかっただけなのに!
もはや僕に残された打つ手は「困るなぁ」とブツブツ呟いてその場を立ち去ることくらいでした。
帰り道、運転をしながらそのシーンを反芻していたのですが、見知らぬ真昼間のスーパーで坊主頭の男と目が合って話しかけられたら驚いちゃいますよね。
それにしてもコミュニケーション能力がおそろしく低い自分がニンゲンと会話したいのにできない哀しきモンスターに思えてきました。
それじゃあ、また。
カメラ:FUJIFILM X100V